Matlab Simulinkの基礎
モデルベース開発を実現するMATLABとSimulink
「MATLAB（Matrix Laboratory）」はアルゴリズム開発、データ解析、数値計算のための統合プラットフォームで、数多くのオプション製品によるカスタマイズが可能です。
「Simulink」はシステム設計、シミュレーション、実装、テストをブロック線図で視覚的に行うことができるグラフィカルな実行環境です。MATLABとSimulinkは、ともに米国に本社を置くMathWorks社によって提供されています。
MATLABとSimulinkを使ったモデルベース開発（MBD）により開発サイクルの短縮と開発時間の削減が実現できるため、自動車業界を中心に様々な分野での普及が急速に進んでいます。
目次
SUPERVISOR
監修者情報
JapanMBD推進センター
sponsored by AZAPAエンジニアリング株式会社
モデルベース開発の
利点や実装方法などを
産業界や研究機関に提供する
利点や実装方法などを
産業界や研究機関に提供する
「一般社団法人MBD推進センター」とは、モデルベース開発は経済産業省の主導で進められてきた普及への取り組みの延長線上にある団体です。トヨタや日産、マツダなど多くの企業が参加し、MBD開発の共同研究がおこなわれています。
MBD推進センター会員
市原 純一氏
市原 純一氏
自動車技術会のモデル流通検討委員の幹事を行いながら、制御開発、モデル開発を行う。MBD推進センターのガイドラインや、準拠モデルの開発にも携わる。
【所属・役職など】
・AZAPA株式会社 取締役
・ MBD推進センター 会員
・モデルベース大学 講師
ページ監修：MBD推進センター会員 市原純一氏
MBD推進センターは経済産業省の主導で進められてきたMBDの普及が主要な活動であり、MBDの利点や実装方法に関する情報を産業界や研究機関に提供し、MBDの普及を推進しています。その会員である市原氏に、当ページの監修を依頼しています。
MATLAB/Simulinkによるモデルベース開発の学習方法
MBD（モデルベース開発)は、モデルとシミュレーションを使用してシステム設計、開発、テスト、実装を行う開発手法です。MATLAB/Simulinkによるモデルベース開発方法については、MathWorksの公式サイトのオンラインドキュメントやビデオチュートリアルなどで学ぶことが可能です。
以下に、Matlab Simulinkを利用したモデルベース開発を学ぶステップについて紹介します。
モデルベース開発の理論と概念の学習
システムの要件定義、モデルの構築、シミュレーション、テスト、検証など、モデルベース開発の基本的な理論や概念について学習します。
MATLABとSimulinkのインストール
MATLAB/Simulinkによるモデルベース開発のためにMathWorksの公式サイトからMatlabとSimulinkをダウンロードしてインストールします。
MATLABの基本的な操作を学ぶ
MATLABを起動するとウィンドウが開きます。ウィンドウにはMATLABのコマンドを入力して実行するコマンドウィンドウと、スクリプトファイルや関数ファイルを作成してエディタで編集するウィンドウがあります。
Simulinkの基本を学ぶ
Simulinkはシステムの動作を表現するためのブロックを組み合わせてモデルを作成するビジュアルなプログラミング環境です。MATLAB上でSimulinkを起動したら、コマンドウィンドウで新しいモデルを生成するスクリプトを作成します。
Simulinkのユーザガイドやチュートリアルなどで、モデルの作成、ブロックの配置、パラメータ設定、シミュレーションの実行など基本的な操作を学びましょう。
シミュレーションと検証
シミュレーション機能を使って作成したモデルのシミュレーションと検証を行います。MATLAB/Simulinkはモデルの自動生成や変更、モデルのテストなどに役立つ多くの関数やコマンドを提供しています。
モデルベース開発のスキルアップ
MATLAB/Simulinkを提供しているMathWorksの公式サイトには、ドキュメント、チュートリアル、オンラインビデオコンテンツなどが用意されています。初心者から上級者まで、幅広いレベルの学習リソースがあり、自分のレベルに合った学習を行うことができます。
また、これらを活用することで、プロジェクトや目的に応じた様々な機能も学ぶことができます。
モデルベース開発の導入方法と学習コンテンツ
モデルベース開発を導入することで、コストのかかる実機テストがシミュレーションによって低コスト化できる、システムシミュレーションができる、具体的な設計を早期に行うことができる、機能設計を効率よく設計・検証できる、自動コード生成できるなどのメリットがあります。
しかし、全くモデルベース開発を行っていない状態から、完璧なモデルベース開発を実現するのは難しいため、段階的な導入が必要です。
MATLAB/Simulinkを開発するMathWorks社では、MATLABやSimulinkの機能をビデオ、ドキュメント、事例、などリソースを通して学ぶための様々なオンライン学習コンテンツを提供しています。
その中で、モデルベース開発を段階的に習得する方法として、以下の3つのステップが推奨されています。
1.ツールの使い方を学習する
MATLABとSimulinkでモデルベース開発をするためには、ツールの使い方を習得し、効率の良いモデリング手法を覚える必要があります。
おすすめのコンテンツ
Projectによる継続的なチーム開発の実現 ：ビデオ（約5分）
MATLABで開発したアルゴリズム関数ファイルやSimulinkで作成したモデルをProject機能によって統合・管理することで継続的な開発を実現
Simulink開発の必須テクニック～テスト駆動開発とグラフィカル表現：ビデオ（約10分）
モデリング能力と業務効率を改善できるモデリングテクニック
Simulinkで開発を行うための必須テクニック?～エディタ便利機能とショートカット：ビデオ（約20分） 作業時間を短縮できるモデリングテクニック
Simulinkで開発を行うための必須テクニック ～モデルベースデザインによる機能構築 初級ビデオ（約14分）
モデルベースデザインに適したモデリングをするための方法
2.実際のモデルベース開発を体験する
自律走行ロボットとマイコンを使ったモデルベース開発フローなど、実践に近い業務を体験することでモデルベース開発手法を習得します。
おすすめのコンテンツ
MATLAB と Simulink によるモデルベース開発 ：（2日コース）
モデルベース開発プロセスの制御装置に実装されるSimulinkコントローラモデルの開発、実装、検証工程を学習します。
Simulink モデルの検証と妥当性確認 ：（1日コース）
システム要求に対するSimulinkモデルの動作をテストするための実践的テクニックを学習します。
Simulink モデルの管理とアーキテクチャ：（2日コース）
モデルベースデザインを設計プロセスに適用するための機能について学習します。
Embedded Coderによる量産向けコード生成例：（3日コース）
ターゲットのハードウェアの制約、データ型、メモリー使用量、アルゴリズムの実行効率性などの要求を満たすコードを、Simulinkモデルから自動生成する方法を学びます。
3.モデルベース開発とAIで先端技術開発を行う方法を学ぶ
車両モデルは複雑なシステムであるため、物理モデルを使うと計算に時間がかかります。深層ネットワークを用いた高度な制御を実現することで、高精度のモデルを短時間で作ることが可能になります。
おすすめのコンテンツ
[自動車] 制御設計・車両設計に必須！ディープラーニング＆強化学習での開発効率向上：ビデオ（約1時間）
モデルベース開発のワークフローの中に強化学習やディープラーニングなどのAIを活用して効率的に開発を行う方法、自動車分野でのAI適用とMATLABを活用する利点について紹介します。
モデルベース開発学習のおすすめサイト
Matlab/Simulinkでモデルベース開発を学ぶための、おすすめサイトを紹介します。
MathWorksの公式サイト
MathWorksは、Matlab/Simulinkの開発元です。公式サイトにはチュートリアル、ドキュメント、ビデオトレーニングなど、Matlab/Simulinkの機能を学ぶための豊富なリソースがあります。初心者には「MATLAB基礎」「Simulink 基礎」がおすすめです。
Simulinkユーザーズガイド
MathWorksの公式ドキュメントで、Simulinkの基本から応用までの情報が提供されています。
MathWorksのMatlabコミュニティ
MathWorksのMatlabコミュニティには、Matlab/Simulinkのユーザーが質問や知識を共有するフォーラムがあります。他のユーザーからのアドバイスや質問への回答を通じて、実践的なスキルを磨くことができます。
YouTube:
Youtubeには、Matlab/Simulinkのチュートリアルやビデオトレーニングが多数提供されています。MathWorksの公式チャンネルには、Matlab/Simulinkの基本的な使い方や高度な機能に関するビデオが数多く公開されています。
MBD関連の教育コンテンツ
JapanMBD推進センターのサイトではJAMBE会員企業が実施するMBD/CAE教育コンテンツも紹介されています。