【MBD推進センター会員監修】モデルベース開発エンジニアに必要とされる知識・技術

近年のモデルベース開発の動向

システムの制御や制御対象をモデル化して「動く仕様書」であるモデルをつくり、シミュレーションを繰り返して設計・開発をしていく「モデルベース開発（MBD）」。

自動車業界を中心に普及が進んでいったのは、排ガス規制に対応した電子制御システム開発の効率化のためでした。航空宇宙、医療機器、ロボットなど、様々な産業でも導入が進むMBDですが、最近ではAIを使った次世代モデルベース開発の適用も増え、今後さらに増えることが予想されています。

Matlab Simulinkの基礎

アルゴリズム開発、データ解析、数値計算のための統合プラットフォーム「MATLAB（Matrix Laboratory）」、シミュレーション、実装、テストを視覚的に行えるグラフィカル実行環境「Simulink」を利用することで、効率的なモデルベース開発が実現できることから、様々な分野で急速に普及が進んでいます。

MATLAB/Simulinkによるモデルベース開発方法は、MathWorksサイトのビデオチュートリアルやオンラインドキュメントなどで学ぶことができます。しかし、全くMBDを導入していなかったところで、いきなり完璧なモデルベース開発を実現することは難しいので、段階的な導入が必要です。

モデル作成と必要な技術について

モデルベース開発では、要求定義から実機評価までの工程がV字プロセスに沿って行われます。モデルベース開発をするエンジニアは、V字プロセスに適用される「MILS」「SILS 」「RCP」「ACG」「HILS」という工程が使えるようにしっかり身につけておかなくてはなりません。

ほかにも、モデル作成には数学、統計学、プログラミング、データベース管理、機械学習と深層学習などの技術は必須です。

モデルベースを使った簡単な事例対応

モデルベース開発で使われるV字プロセスの左側は机上でモデルとシミュレーションを行う設計領域、右側はハードウェアで設計された機能の検証を行う検証領域です。モデルベース開発時にはV字プロセスに沿ってMILS、SILS、HILSなど最適なフェイズを選ぶことが重要です。

また、MBDのモデルはコントローラモデルとプラントモデルに分けられ、さらに統計モデルと物理モデルに分けられます。統計モデルは得られたデータの範囲内のモデルにしか適用できませんが、物理モデルは汎用性のあるモデルとなります。