モデルベース開発におけるRCPとは

こちらの記事では、モデルベース開発におけるRCP（ラピッド・コントロール・プロトタイピング）についてご紹介していきます。RCPの特徴や、採用するメリットなどをまとめています。

RCP（ラピッド・コントロール・プロトタイピング）とは

RCP（ラピッド・コントロール・プロトタイピング）は、汎用の制御対象（ハードウェア）に制御モデルを繋ぎ、制御設計の最適化を行う方法です。自動車開発を行う場合、汎用エンジンやトランスミッションに制御モデルを接続することによって、動きを確認することが可能になります。

この手法は、MILSによる制御対象モデルが想定した通りに作られているかを検証したい場合や、実機プラントが複雑でモデル化が困難な場合など、さまざまな場面で用いられています。RCPを活用するメリットは、モデルを用いたシミュレーションだけでは確認が難しい項目についてチェックが行えることなどが挙げられます。そのため、必要となる機能を早期の段階で見極められるようになります。

モデルベース開発におけるRCP

モデルベース開発は、モデルを使用した「動く仕様書」の作成を目的としています。ただし、ここで作成する仕様書はあくまでもPC上で仮想化されたシミュレーションであるため、これだけでは実機で想定した通りに動くかどうかを判断することは困難であるといえるでしょう。

実機は、コントローラとプラントが物理的に分かれていることがほとんどです。コントローラがプラントのフィードバックを受け取って制御していくフィードバック制御の場合には、コントローラとプラントの間で行われる通信に時間が必要になることが注意点として挙げられます。しかし、モデルはあくまでも机上でのシミュレーションであるため、その点を考慮した設計を行うことは難しいといえます。そこで必要となるのがRCPプロセスというわけです。

RCPでは、制御モデルを汎用の制御対象（ハードウェア）につなげることによって、通信によって発生する遅延を取り入れながら制御モデルの動作検証を行うことが可能となります。

RCPを採用することのメリット

RCPを採用することによって得られるメリットはさまざまなものがあります。例えば、ハンドコーディングなしでモデルを汎用ハードウェアに実装して、実機テストを行えるようになります。この点から、シミュレーションベースのアルゴリズム検討に加え、実機試験ベースの機能検証や性能確認を素早く行えるようになるので、業務効率の改善や製品の品質向が期待できます。

HILSはRCPに使用可能

RCPでは、汎用コントローラと実機（試作機）を用いた検証を行いますが、費用や期間など、さまざまな理由から試作機を用意することが難しいケースがあります。このような場合に用いられるのがHILSです。HILSは、開発された製品の機能検証を行うテスト方法。製品の駆動環境と同じ条件を仮想環境で構築してシミュレーションを行うことによって、製品が機能するかを検証する方法です。HILSを用いることで、実機を使用したテストが困難であるという課題をクリアできたり、再現性の低い状況を繰り返し再現できたりと、さまざまなメリットが得られます。

もちろん実機を使用した検証が必要な場合もありますが、制御ロジックの機能検証を行う場合はHILSでの検証が可能です。このように、HILSをRCPで使用することで、実機が十分に用意できない場合の課題も解決につなげられるようになります。