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モデルベース開発(MBD)とAUTOSARとは?関係性やメリットとは?

モデルベース開発(MBD)とAUTOSARの基礎知識

ずはそれぞれの考え方を整理し、なぜ今注目されるのかを押さえましょう。

モデルベース開発(MBD)とは?

モデルベース開発(MBD)とは、システムの設計や振る舞いを表現した「モデル」を開発の中心に据える手法です。

従来の開発では、C言語などのプログラミング言語を使って、人間が一行ずつテキストでコードを記述していました。これに対しMBDでは、まずMATLAB/Simulinkといった専用ツールを使い、ブロック線図などでシステムの動きを視覚的に表現したモデルを作成します。

このモデルは、単なる設計図ではなく、実際にコンピューター上で動かしてシミュレーションできるのが大きな特徴です。

開発工程は「V字プロセス」と呼ばれる流れで進められますが、MBDはこのプロセスの特に早い段階、つまり設計の段階でシミュレーションによる検証を行えます。そのため、後工程で重大な不具合が見つかって設計をやり直すといった「手戻り」を大幅に減らせるのです。

開発の初期段階に負荷をかけ、前倒しで問題解決を進める考え方は「フロントローディング」と呼ばれ、MBDの根幹をなす重要な概念となっています。

AUTOSARとは?

AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)とは、車に搭載されるソフトウェアのための「共通のルール(標準プラットフォーム)」です。

一昔前の自動車に比べて、現代の車はエンジンやブレーキ、エアコン、カーナビなど、あらゆる部分がECU(電子制御ユニット)というコンピューターによって制御されています。車の高機能化に伴い、ECUに搭載されるソフトウェアは爆発的に複雑化・大規模化しました。

その結果、開発コストの増大や品質確保の難しさといった課題が深刻になったのです。そこで、自動車メーカーや部品メーカー、ソフトウェア会社などが協力し、このAUTOSARという共通のルールを策定しました。

このルールの目的は、ソフトウェアの「再利用性」と「移植性」を高めることです。AUTOSARに準拠してソフトウェアを開発すれば、特定の車種やECUに依存しない「部品」として作ることが可能になります。

一度開発したソフトウェアを別の車種に流用したり、新しいハードウェアに載せ替えたりすることが容易になり、開発効率を飛躍的に向上させられるのです。

なぜ今、MBDとAUTOSARが重要視されるのか?

現代の自動車業界が目指す「CASE」の実現には、これまでにないほど高度で複雑なソフトウェア開発が不可欠です。

例えば、インターネットに常時接続するコネクテッドカーや、周囲の状況を判断して自律走行する自動運転車を考えてみましょう。これらの機能を実現するためには、膨大な量のデータを処理し、極めて高い安全性と信頼性を確保するソフトウェアが必要となります。このような大規模なソフトウェアを、従来のやり方で開発するのは非常に困難です。

そこで、MBDとAUTOSARの組み合わせが、現在の自動車開発における最適なアプローチとして標準になりつつあります。MBDを用いることで、設計の早い段階でシステムの振る舞いをシミュレーションし、品質を徹底的に高めることが可能です。そして、AUTOSARの規格に準拠することで、開発したソフトウェアを部品化し、異なる車種やシステム間で再利用しやすくなります。

この二つを連携させることで、高品質な車載ソフトウェアを、効率的かつスピーディーに開発する体制を構築できるため、CASE時代の自動車開発において極めて重要視されているのです。

MBDとAUTOSARを連携させるメリットと開発フロー

モデルベース開発(MBD)とAUTOSARを組み合わせることで、単独では得られない高い相乗効果が期待できます。この連携が開発現場にもたらす具体的なメリットと、開発の一般的な流れについて詳しく解説します。

MBD×AUTOSARによる開発の具体的なメリット

開発期間の短縮とコスト削減

MBDとAUTOSARを連携させる最大のメリットの一つが、開発工数の大幅な削減です。MBDでは、シミュレーションで検証済みのモデルから、AUTOSAR規格に準拠したC言語のソースコードを自動で生成できます。

これは従来エンジニアが多くの時間を費やしていた手作業でのコーディング工程を、ツールが代替してくれることを意味します。また、モデルの段階でロジックの正しさが十分に検証されているため、コーディング後の単体テストにかかる工数も大幅に削減可能です。

結果として、開発プロジェクト全体の期間が短縮され、人件費をはじめとする開発コストの削減に直結するでしょう。市場投入までの時間を短縮できることは、競争の激しい自動車業界において大きなアドバンテージとなります。

品質の向上と手戻りの防止

ソフトウェアの品質向上も、この連携がもたらす重要なメリットです。MBDの強みは、設計の非常に早い段階で、モデルを使ってシステムの振る舞いをシミュレーションできる点にあります。

仕様書だけでは気づきにくい要求仕様の解釈のずれや、設計上の論理的なミスを早期に発見することが可能です。開発の後工程でこうした問題が発覚すれば、設計変更や大規模な修正作業、いわゆる「手戻り」が発生し、多大な時間とコストを要します。

MBDによってフロントローディングを実践し、上流工程で機能検証や妥当性確認を徹底することで、後工程での手戻りを未然に防ぎ、信頼性の高い高品質なソフトウェア開発を実現できるのです。

ソフトウェア資産の再利用性向上

AUTOSARは、ソフトウェアを機能ごとに独立した部品(ソフトウェアコンポーネント、SW-C)として開発することを前提とした標準規格です。

MBDを用いてこの規格に準拠したモデルを設計し、コードを自動生成することで、再利用性の高いソフトウェア資産を効率的に蓄積できます。例えば、ある車種のエンジン制御用に開発したソフトウェアコンポーネントを、別の車種や次世代のモデル開発プロジェクトでも再利用しやすくなります。

毎回ゼロからソフトウェアを開発する必要がなくなり、開発効率が飛躍的に向上します。メーカーやサプライヤーの垣根を越えてソフトウェア資産を共有することも可能になり、業界全体の開発力向上にも貢献するアプローチだといえるでしょう。

MBDを用いたAUTOSAR開発の基本的な流れ

MBD(モデルベース開発)とAUTOSARを連携させた開発は、一般的に以下の4つのステップで進められます。この一連のフローにより、要求仕様から実装まで一貫性のある開発が可能となります。

1.要求分析・モデル作成

システムに求められる機能や性能を定義した要求仕様書をもとに、システムの振る舞いを「モデル」として視覚的に作成します。この工程では、MATLAB/Simulinkなどの専用ツールが用いられます。

2.シミュレーション

作成したモデルをコンピューター上で実行し、様々な条件下で意図通りに動作するかを検証します。この段階で徹底的にテストを行うことで、モデルの品質を確保し、後工程での手戻りを防ぎます。

3.コード自動生成

シミュレーションによって品質が保証されたモデルから、AUTOSAR規格に準拠したC言語のソースコードをツールが自動的に生成します。人為的なコーディングミスを防ぎ、開発効率を大幅に向上させることが可能です。

4.実装・テスト

自動生成されたコードを、ターゲットとなるECU(電子制御ユニット)に実装します。その後、実機やそれに近いシミュレーター環境を用いて最終的な動作確認を行います。

開発で使われる主なツール

モデルベース開発(MBD)を進める上で、中核となるのが専用の開発ツールです。中でも、業界で広く利用されているのが、The MathWorks社が提供する「MATLAB/Simulink」です。

これら2つを連携させることで、モデルの作成からシミュレーション、コードの自動生成まで、MBDの一連のプロセスをシームレスに実行できます。そのため、自動車業界をはじめ、航空宇宙や産業機械など、複雑なシステムの設計・開発を行う多くの分野で不可欠なツールとなっています。

モデルベース開発エンジニアの仕事と将来性

MBDとAUTOSARの普及は、エンジニアの役割やキャリアに大きな変化をもたらしています。ここでは、これからの時代に求められるMBDエンジニアの仕事の魅力と将来性を解説します。

モデルベース開発エンジニアの役割とやりがい

MBDが主流となることで、コーディング作業は自動化され、エンジニアの役割は大きく変わります。MBDエンジニアは、仕様検討やアーキテクチャ設計といったより付加価値の高い上流工程に集中できます。単に仕様通りに作るのではなく、システム全体を俯瞰して最適な解決策を考える創造的な仕事であり、自ら設計したモデルが製品になる過程に深く関われることが大きなやりがいです。

MBDエンジニアに求められるスキル

MBDエンジニアには、従来のプログラミングとは異なる専門スキルが求められます。具体的には、MATLAB/SimulinkなどのMBDツールを扱う技術、自動車の制御工学といった製品ドメインの深い知識、そして複雑な現象をモデルに落とし込む抽象化・モデル化の能力という、3つのスキルが重要となります。

MBDエンジニアの将来性とキャリアを考えるなら

MBDの技術は自動車業界だけでなく、航空宇宙や産業機械など様々な分野へ活用が拡大しています。そのためMBDエンジニアの需要は業界を越えて高まっており、非常に将来性が豊かです。特定の言語の流行に左右されない普遍的なスキルが身につくため、エンジニアとしての長期的なキャリアを築く上で、極めて有力な選択肢といえるでしょう。

MODEBE編集チームより
今後も増加が予想されるモデルベース開発

自動車業界だけでなく、検証のために広い場所を必要とする建設機械や航空機業界など頻繁な検証が難しい現場でもモデルベース開発が進んでいます。今後も実機を使わずに詳細なシミュレーションができるモデルベース開発のニーズがますます増加することが予想されています。

2021年には日産やトヨタなどの自動車メーカーや自動車部品メーカーによって2021年にMBD推進センター(JAMBE)が立ち上げられました。これは経済産業省による「自動車産業におけるモデル利用のあり方に関する研究会」でまとめられた「SURIAWASE2.0」を継承したものですが、現在ではMBDの全国普及を目指し、東芝デジタルソリューションズ株式会社、日本マイクロソフト株式会社など様々な企業が参画しています。

しかしながら、その専門知識を有するエンジニアはまだまだ不足しているのが現状です。
エンジニアとしての将来を検討する際には、若手エンジニアへのモデルベース開発技術の教育に力を入れているAZAPAエンジニアリング株式会社のような企業は、今後の活躍の場を広げるためにも、注目すべき企業だと言えるでしょう。

SUPERVISOR
監修者情報
JapanMBD推進センター

sponsored by AZAPAエンジニアリング株式会社

公式サイトキャプチャ
モデルベース開発の
利点や実装方法などを
産業界や研究機関に提供する

「一般社団法人MBD推進センター」とは、モデルベース開発は経済産業省の主導で進められてきた普及への取り組みの延長線上にある団体です。トヨタや日産、マツダなど多くの企業が参加し、MBD開発の共同研究がおこなわれています。

監修
MBD推進センター会員
市原 純一氏

自動車技術会のモデル流通検討委員の幹事を行いながら、制御開発、モデル開発を行う。MBD推進センターのガイドラインや、準拠モデルの開発にも携わる。

【所属・役職など】
・AZAPA株式会社 取締役
・ MBD推進センター 会員
・モデルベース大学 講師

【専門家監修】
モデルベース開発エンジニア
になる道筋を解説